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Anthropic と OpenAI を調べてみた

思考テクノロジーAI

AI を毎日使っているのに、それを作っている会社のことをほとんど知らなかった。

今日 Claude と話して、Anthropic と OpenAI の歴史や今起きていることを調べていたら、思ったより深くて面白かったのでまとめておく。


OpenAI は、もともと非営利だった。

2015年にイーロン・マスクとサム・アルトマンが「Google に AI を独占させないために」という理念で非営利団体として立ち上げた。人類全体のために AI を開発する、という理想があった。

でも、AI を賢くするには大量のデータと GPU と電力が必要で、非営利ではその資金が足りなくなった。2019年に営利化して Microsoft から多額の出資を受ける。ここでマスクと方針がずれて、マスクは去った。

その後も「安全性より商業化を優先している」と感じたメンバーが離れていき、2021年にできたのが Anthropic だ。OpenAI 出身の 7 人、中心はダリオとダニエラのアモデイ兄妹。

Anthropic の創業背景について


2026年2月27日に、面白い事件が起きた。

ペンタゴン(国防総省)が Claude を軍の機密ネットワークで「あらゆる合法的な目的」に使いたいと言ってきた。Anthropic はこれに対して「自律型兵器への使用禁止」「国民の大規模監視への使用禁止」という2つの条件を外せなかった。

トランプ大統領は Anthropic を「極左の意識高い系企業」と呼び、連邦機関での使用を全面禁止した。

その数時間後、OpenAI がペンタゴンと同様の契約を締結した。

トランプ大統領、Anthropic 製品の使用停止を指示 - ITmedia OpenAI announces Pentagon deal after Trump bans Anthropic - NPR


皮肉だな、と思った。

原則を守って大きな契約を断った Anthropic の方が、その後 Claude のダウンロードが急増して App Store で 1 位になった。倫理的に行動した方がユーザーに支持されるという結果になった。

でも長期的に見たら OpenAI が優勢になるのかな、と最初は思った。政府の資金援助 → GPU 増加 → 性能向上 という流れで。

ただ Anthropic のバックには Amazon(約1.2兆円の出資)と Google(TPU 100万枚へのアクセス権)がいる。スポンサーが違うだけで、資金力の差は思ったほどない。

さらに、「モデルを大きくすれば賢くなる」というスケーリング則が 2024〜2025 年頃から頭打ちになってきている。中国の DeepSeek が OpenAI の 10 分の 1 以下のコストで同等性能を出したことが象徴的だった。お金をかけた方が勝つ時代が終わりかけている。


ダリオ・アモデイが書いた 2 つのエッセイが面白かった。

1つは The Adolescence of Technology。AI が「思春期」にある今、自律型兵器や独裁政権による監視への悪用リスクを警告するもの。生物兵器が最大の懸念として挙げられていた。

もう1つは Machines of Loving Grace。こちらは逆に希望の話で、AI が正しく使われれば「21世紀全体の医療進歩を 5〜10 年に圧縮できる」「がんの死亡率を 95% 以上削減できる」という話。

2つ合わせて読むと、ダリオが何を信じているかがわかる気がした。

リスクをちゃんと管理すれば、AI は人類史上最大の恩恵になる。

今回のペンタゴンとの衝突も、このエッセイで書いたことを実際に体現したような出来事だった。


一番印象に残ったのは、Anthropic のインフラの話。

Anthropic はデータセンターも GPU もほとんど持っていない。Amazon や Google のクラウドを使って Claude を動かしている。2029年までにクラウド費用だけで約12兆円を支払う試算がある。

出資してもらいながら、そのインフラにお金を払い続けるという構造。これって「完全に自立している」とは言えないよなと思った。

倫理観を貫く Anthropic も、最終的にはビッグテックに依存している。純粋な独立なんてどこにもないのかもしれない。


今日知ったことはたくさんあったけど、一番おもしろかったのは「OpenAI が非営利で始まった」という事実だった。

理念と現実の間で揺れ続けることは、会社も人も変わらないなと思う。

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